うるみ物語

 

『うるみ物語』は、黒漆の上に、朱漆を塗り重ねて、きれいなうるみ色を表現しています。

 

うるみ色とは、赤黒く濁っている色を指します。

漆で表現するのに最も適している色のひとつです。

 

内側の金梨地(きんなしじ)には、桜・紅葉の金加飾をほどこしています。

 

梨地(なしじ)とは、器物の表面に漆を塗り、金・銀・錫などの梨地粉を蒔き、その上に透明漆を塗って粉をおおったあと、粉が露出しない程度にとぐ技法を指します。

梨の肌に似ているところからこの名があります。




秋の月を、金のなし時(蒔絵の技法)で繊細に表現しています。

 

蒔絵(まきえ)とは、漆器の表面に漆で絵や文様、文字などを描き、それが乾かないうちに金や銀などの金属粉を蒔くことで器面に定着させる技法です。




四季折々の自然の風物で、最も雅趣に富むとされるものの総称である「春の桜」を、白蝶貝で表現しています。

またサイドの2本柱は、冬の雪を、「金の雪の結晶」と「白蝶貝の雪輪」で華麗に表現しています。




砂は、伝統的な「日本の美」を連想していただけるような作品に仕上げています。